AIを使った水浄化システムを開発するWOTA株式会社を訪問し、COOの前田瑶介さんと意見交換しました。
災害による避難所生活が長期化すると、入浴が大きな課題として浮上してきます。
100人規模の避難所だと、入浴だけでも1週間に給水車10台分もの水が必要になり、実現のハードルが高くなります。
しかし、仮に水害の場合、入浴せず体に付着したままの泥が乾燥すると、泥に含まれていた有害な菌が浮遊して避難所内に蔓延することになるため、衛生面のリスクが高くなります。
また、汚れたまま暮らさなければならないストレスも相当なものがあります。
しかし、WOTAの浄化システムを使うと必要な水の量は50分の1で済むため、避難所にシャワールームを常設することが可能になります。
実際、令和元年台風19号や西日本豪雨、胆振東部地震、熊本地震などにおいて同社のシステムが導入されました。
テント式で収納にかさばらないため、避難所ごとに常備しておくことも可能ですが、全ての自治体が大量に購入するのは非効率です。
そこで前田さんが提案しているのが『社会的備蓄』。
これは、各自治体が保有するシステムはそれほど多くなくとも、有事の時に融通しあうことができれば被災時に必要な数を賄うことはできるだろう、という考え方です。
イタリアでは災害発生時、近隣自治体から被災地にキッチンカーを派遣していますが、『社会的備蓄』はこれに通じるものがあると感じました。
避難所生活における入浴の重要性を考えると、こういった考え方を普及していく必要性は高いと思います。
また、WOTAの浄化システムは、上下水処理の分散化にも活用できます。
今後、地方の過疎化が進むと、1人あたりの水道コストが1000万円近くなる地域も出てきます。
しかし、WOTAのシステムを活用して上下水処理の分散型システムを構築するとより安価に上下水インフラを維持することができます。
これは、公的サービスの民営化にもつながる可能性を秘めた技術です。
テックベンチャーが避難所生活を救うだけでなく、公的サービスの在り方まで変えていくことになるのか。
今後の動向に目が離せません。
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